Saturday, September 21, 2019


中学の頃に教科書ではじめて知った詩人、
吉野弘氏。
「I was born」は、
子供ながらにちょっと胸が痛んだ。
有名な「夕焼け」も「生命は」も
娘さんに書いたのでしょう、「奈々子に」も、
ちょっぴりの切なさも味わいながら、
いつか娘に読んであげられたらいいなと思う。

10年前に何度も読んだ「祝婚歌」は、
今改めて読むと、やっぱり凄いなと思う。
作者の心の深さが
自分の驕りを飲み込んで溶かしてくれる、
そんな気がする。


10回目の結婚記念日でした。
今年は娘を預け、
ふたりで思い出のレストランに行きました。
お料理も空間も素敵でよかったけれど、
やっぱり娘がいないとどこか淋しい。
ふたりの頃はあんなに楽しかったのに、
今はやっぱり、3人が一番です。

さあ、また10年、
更に愚かでずっこけてひかえめで
楽しくいきたいです。


「祝婚歌」 吉野弘

二人が睦まじくいるためには  
愚かでいるほうがいい  
立派過ぎないほうがいい  
立派過ぎることは  
長持ちしないことだと  
気づいているほうがいい  
完璧をめざさないほうがいい 
完璧なんて不自然なことだと  
うそぶいているほうがいい  
二人のうち どちらかが  
ふざけているほうがいい  
ずっこけているほうがいい  
互いに非難することがあっても  
非難できる資格が自分にあったかどうか  
あとで疑わしくなるほうがいい  
正しいことを言うときは  
少しひかえめにするほうがいい  
正しいことを言うときは  
相手を傷つけやすいものだと  
気づいているほうがいい 
立派でありたいとか 
正しくありたいとかいう  
無理な緊張には色目を使わず  
ゆったりゆたかに 
光を浴びているほうがいい  
健康で風に吹かれながら  
生きていることのなつかしさに  
ふと胸が熱くなる  
そんな日があってもいい  
そしてなぜ 胸が熱くなるのか  
黙っていてもふたりには  
わかるのであってほしい

2 comments:

  1. Kanaさん、こんにちは。秋のリンゴ狩りのお写真、どれもきれいですね。こちらは先週20センチほど雪が降り、まだまだ青々としていた芝や黄色の木々が雪をかぶって本当に寒そうです。

    今回、初めて知った吉野弘さんの詩、ゆっくりと字を目で追っているうちにどんどん涙があふれてきて不思議な気持ちになりました。紹介してくださってありがとうございました。そのまま、Kanaさんのあげてくださった他の詩も探して読んでみると、どれもそれぞれに心に染みてぽろぽろぽろぽろ涙が出ました。詩、どのくらい読んだことがなかったんだろう。。。短い言葉がこんなに心に響くものなんだと正直驚きました。
    祝婚歌、ノートにゆっくりと書きだして、忙しさに心がギスギスしたり、余裕がなくてピリピリしていると感じるとき、座って深呼吸して読んでみようと思います。

    ReplyDelete
    Replies
    1. Erikoさん、こんばんは。あっという間に寒くなってしまいましたね。アルバータの雪のニュースを見てビックリしていました。どうぞお身体を壊されませんように、ご自愛下さいね。
      吉野弘さんの詩はどれも身近な題材なので、自分の人生になぞらえることができることが魅力ですね。私も読んでいて、ふと涙が伝うことがあります。特にこの祝婚歌は、何度読んでも教えられ、また反省させられます。この詩のように毎日穏やかでおおらかに暮らせたらいいのですが、、、そうできない日もあり、、、私の人生の目標ですね。
      Erikoさんにも気に入って頂けて良かったです!
      コメントありがとうございました♪

      Delete

Thank you for your message!
コメント、どうもありがとうございます!